蒼い海に溺れて2nd season

なんとなく作ってみたけど、しばらく様子見

“Wikipediaに犯行を示唆する書き込み(犯行予告)”とか毎日が誤報しやがった件について考えてみる

元厚生事務次官の下村健氏夫妻が殺害され、同じく元厚生事務次官の吉原健二氏の妻が刺された事件について。感想めいたことを昨日書いたが、改めてこの事件について書いてみる。


ちなみに前置きとして書いておくけど、この話はWikipedia日本語版の管理者(自分ではシスオペと言うことも多い)として知り得た情報に関する話ではなく、特別な権限なしに得られる情報を元に書いたものなので注意。機密情報とかそう言う類のものには触れてません。


んで、魚拓取られた記事や新聞の紙面など、毎日の報道について確かめてみたが、予想以上に酷いなと思った。以下引用。

元厚生事務次官、吉原健二さんの妻靖子さんが刺された事件の約6時間前に、インターネット上のサイト「フリー百科事典・ウィキペディア」に犯行を示唆する書き込みがあったことが分かった。


ウィキペディアは百科事典のネット版で、誰でも新しく項目を追加したり、すでにある記事を自由に編集できるサイト。


書き込みがあったのは18日正午すぎ。「社会保険庁長官」という項目で、「歴代の社会保険庁長官」というタイトルのすぐ下に「×は暗殺された人物を表す。」というただし書きがあり、一覧表の中の吉原さんの名前の前に「×」がつけられていた。

まずは当然ながらタイムゾーンの勘違い。内部の人間が誰も気づかなかったのか、…って指摘も既にある。Wikipedia(の記事の履歴)が絡む社会問題はこれが初めてじゃないのだから、誰か気づいても良いのにね。

同日午後11時の時点で、書き込みはすべて削除されている。アクセスの記録などから書き込みがなされたパソコンが特定できるとみられ、捜査本部は慎重に調べている。

次に自分が気になっていたのは「書き込みが既に削除されている」という部分。犯罪予告が削除って言った場合、編集を消すんじゃなくて管理者による削除処理(こんなん)を指すもんです。今まで見てきた犯罪予告云々の報道で、削除って書かれてたものはみんな大体MediaWikiの「削除」機能を使った処理を指してました。全ての報道がそれだったかは分からないけどね。だからあやふやなことを書きやがるもんだと思った。


あと「アクセスの記録から書き込みの行われたパソコンを特定できる」と言う報道も問題という指摘がある。とある管理者の方が公表していたことだが、今回の問題で警察にアクセスログ*1は提出されていない。にも関わらず、毎日新聞は「警察がアクセスログを受け取って捜査を行っている」と言った意味に取れる書き方をしているわけなんですね。そりゃ問題だわな。事実を的確に伝えるべき報道機関が紛らわしい書き方してるんだから。


なんか全体的にじっくり見てみると、ミスリードばっかりだな言う印象を受ける。勘違いを勘違いで裏付けしてて、誤報どころじゃないと思う。大手新聞社とは思えないほどに低次元だと感じた。


書いた人

さて、上とは節を分けて書きます。書き込みを犯行予告と間違えられた方について。見たところ、御本人は相当にダメージ受けてる印象。予想こそ出来たが予想より酷い状況だ。


書き込みを行った方は必要のないお詫びコメント出したし、わざわざ警察にまで名乗り出たし、他にもまぁいろいろ責任重大だと捉えているようです。罪無き人を犯人扱いしてワイドショーに変な話題を提供した記者と新聞社のほうが責任重大のハズなのにね。


つうかその毎日新聞は間違いを訂正しただけで、犯罪者の濡れ衣着せた相手へのお詫びはなし。それどころか逆に相手の“世間を騒がせたお詫び”を新聞のお詫び記事の“材料”にしてるし。だからとでも言うか、ネットと縁のない一般人の中には、「毎日新聞が一番悪いけど書き込みを行った人物にも問題があったんでしょ?」と考える人がいるんでないかなぁ?分からないけど。


今回犯人扱いされた方はほんと気の毒だよ。誰も経験したことのないような立場で苦しめられているのだろうな…。不用意に触れるとさらに傷付けそうで怖いが、何か出来るものなら何かして差し上げたいものです。

*1:CheckUser権限のある管理者でないと把握できない情報なので、自分は分かりません(´・ω・`)